シニア夫婦
シニア夫婦

 浮気が発覚し問い詰めたところ、 「夫婦関係はすでに破綻しているから不倫ではない!」「夫婦が破綻した後の交際だから慰謝料を払う義務はない!」そう主張する夫は少なくありません。


 夫婦には貞操義務があるため、配偶者以外の異性と性的関係を持つことは原則として配偶者に対する不法行為にあたりますが、例外として、すでに婚姻関係が破綻しているときは、平穏な夫婦の生活という保護の対象となる利益がないため、異性と性的関係を持っても不貞行為にあたらないとされています。このことから、上記のような主張をする夫がいるのです。


 それを言われた奥さんは、え!?私が作ったご飯食べてるし、お弁当も作ってる。仕事着も洗濯してるでしょ!どこが破綻なの!?と戸惑う方も多いでしょう。ケンカばかりするようになった、会話がほとんどない、別々に寝ている…それだけで夫婦関係の破綻と言えるのでしょうか。


 夫婦関係が破綻している状態とは一体どういう状態なのでしょうか。 一言で言えば、夫婦がお互い、夫婦関係の継続する意思を持たず、また婚姻関係を維持していくための行動や努力をしていない状態のことであります。法律論的に「婚姻関係が破たんしている」ことの定義は、婚姻関係が深刻に破綻し、婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがないといえる場合です。夫婦としての実体的な協力が見込めない場合が該当します。単に夫婦関係が冷えているだけでは破綻したとまではいえません。冷えているだけではなく、およそ回復の見込みがなかった、という状況が必要となります。 
ではどのような事実があると婚姻関係が破綻していないと判断されるでしょうか。

婚姻関係が破綻していないと判断される場合

  • 妻が家族の食事を用意し、夫もそれを食べている(家事の協力があるという事実)
  • 一緒に食事をしている
  • 破綻したと言いながら、離婚に関する具体的な協議をした形跡がない
  • 性交渉がある
  • 家族で食事をともにしたり、家族旅行等をしている事実がある。またはそれらの計画を立てていた事実がある
  • 冠婚葬祭等へ夫婦そろって出席していた事実がある
  • 夫婦生活のやり直しについて話し合ったり、夫が謝罪したような事実がある
  • 妻が夫を看病している
  • 妻が夫へ誕生日プレゼントを贈っている
  • 別居している場合、妻の親に別居を謝罪したり、夫婦生活をやり直すと発言している
  • 夫婦間において、まだ親密な関係をうかがわせるメール等の履歴がある


「夫婦が破綻した後の関係だ!」と浮気夫は主張しても、勝手に破綻と決めつけている場合が多く、相手の破綻理由を聞くと、到底破綻とは言えないようなことばかりです。夫は夫婦関係が破綻していたと主張し、夫婦関係が破たんしていた間の不貞行為は不貞行為に該当しないとの理論を展開し、慰謝料請求を避けようとしているだけなのです。


浮気が発覚した上に、「夫婦関係の破綻していた」と言われてしまっては、どうしたらよいかわからなくなるかもしれません。「夫婦関係の破綻」は、不倫を正当化するためのものではなく、弱い立場にある人たちを保護する制度です。浮気夫が夫婦関係が破綻していたということを証明するのはそう簡単なことではありませんので、夫婦関係が破綻していない証拠をしっかり集めておきましょう。